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都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第八回 遠い忘れ物

  「あの時、別の選択をしていたら……」

  人生、25年近く生きていれば、誰もが一度はそんなことを思うのではないだろうか?

  私の場合は一度なんてもんじゃない。はっきり言えば、毎日そう思っているといってもいい。

  あの時、そう、高校3年生に戻れるのなら、私は多分、いや間違いなく、もう一つの選択をしてだろう。

  佳奈と私はソフトボール部設立以来の、天才プレイヤーとして、県内に名をとどろかせていた。背格好もよく似た私たちは、よく“二卵性双生児”といわれたものだ。贅肉のないからだに、ショートカット、そしてうっすらと日焼けしたミルクティー色の肌。二人がグランドに立つと、男子というより、女子から黄色い声援があがったのを今でもよく覚えている。

  特にピッチャーだった佳奈の人気はすごかった。アメリカの野球選手のように、ミントガムを噛みながらのポーズは賛否両論ではあったが、「気を集中させるにはこれが一番」と彼女は決して止めなかった。私は佳奈のそんなぶれないところが大好きだった。

  小学校時代からのおさななじみでもある佳奈とは、気心が知れた仲で、部活はもちろん、どこへ行くにも一緒だった。相談事といえばすべて佳奈。血のつながった姉よりも信用できる、誰よりも大切な存在だった。昔も、そしてきっと今も……。


 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
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