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都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第六回 “私”のままで

  世の中にはトクをする人と、ソンをする人の2種類が存在する。

  私?

  悲しいけれど、悔しいけれど、後者に分類される。それも代表格とも言えるほど、ソンばかりの人生だった。過去、そしてまさに今がそのまっただなか。大好きだった浩輔を、あっけなく親友に譲ってしまうなんて、ソンするにもほどがある。

  婚約が破談になり、傷つききった梨央を、紅葉狩りに誘ったのは私だった。当初は浩輔と二人で、久々の日帰り旅行を楽しむはずだったが、お節介心がついうずいてしまった。行き先は日光。これもまた大きな選択ミスだった。栃木は浩輔と梨央の出身地で、自ら話題を提供してしまったようなもの。往き帰りの車中はもちろん、最後の最後までローカルな話題で持ちきりで、私はただ作り笑いを浮かべているしかなかった。

  梨央の笑顔が戻ったと同時に、浩輔からの連絡が途絶えた。

 「これぞ即」と言えるほど早かったメールのレスポンスも滞りがちになり、留守電を残しても彼からのコールバックは「5回に1回あればマシ」という状態に。

そして「その日」がとうとう訪れた。


 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
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