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都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第五回 ふたたびの恋

  彼の背後から照らす夕陽が、染めた髪をよりいっそう茶色く輝かせ、焼けた肌を美しく見せていた。その瞬間、何故か私は“運命”を感じてしまったのだ。笑ってしまうほど、あきれてしまうほど単純。でも、それが私の恋のはじまりだった。そしてまた過酷なダイエットとの幕開けも、この日からとなる。

  かつて彼に一度、「どんな女の子がタイプ?」と聞いた時、「スリムな子かなあ」という返事が返ってきたのを私は何となく覚えていた。ソフトボールでならした私の体型は、スリムとはほど遠く、まるでメスゴリラのよう。

 「隆に好きになってもらいたい」

  私はただその一心で、ダイエットに励んだ。

  食事制限、運動に加え、アロマを取り入れたのが幸いした。使ったアロマの香りはグレープフルーツ。体に塗るのはもちろん、アロマポットで焚くことで、ダイエット中のイライラを抑えられたことも成功の大きな要因であろう。体重は見る間に落ちていった。今もまだ、この香りを嗅ぐと、ゆるんだ気持ちがキュッと引き締まる。しかしまさか今夜「バー ラルム」という場所で、この香りに再会できるとは思っても見なかった。それもまたおしぼりを通じてなんて、誰が想像できるというのだろうか。


 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
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