00
11
bar
都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第四回 遠い記憶

  愛情が深いほどに傷つけあう。
 
  このことを知ったのは、30歳を迎えてからだったように思う。

  それは他人同士だけではなく、血を分かち合った母と娘であっても多分にもれることはなく、他人以上に傷つけあうのだと知った。

  私と母はもともと折り合いのいい親子ではなかった。

  顔を合わせればケンカで、結局、私はそれが元で22歳の時に家を出た。

  「同性だから」という理由は、私たちには通用しない。何故なら母は、5歳下の妹とは姉妹のようにうまくやっていたからだ。

  同じDNAとは思えないほど美しく、利発な妹の紗枝は、私とはまったく別の道を歩んだ。国立の女子大を首席で卒業した後、外資系の商社に勤め、早々に良家の男性と結婚し、彼女に似た大きな瞳を持つ二人の子どもを産んだ。

  私はといえば、三流の私立大学を卒業し、そこそこの会社に勤め、30歳をすぎても役職に就くこともなく、ただ日々をやりすごしている。紗枝と正反対の地味な外見と、引っ込み思案な性格のせいか、ここ5年ほどきちんとしたパートナーもいない。20代の頃は結婚を急かした母も、最近はさすがに悪いと思うのか、またはあきらめたのか、「結婚」という二文字を口に出すことすらしなくなった。

 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
  Copyright (C) 2008 OSHIBORI JAPAN All Rights Reserved.