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都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第三回 太陽の結界

  「住む世界が変わってしまったら、自分がそこにたどりつくまで会うのは難しいでしょうね」

  「結界をムリに越えたとしても…、ですか?」

  「生きている人間にあの世との結界は越えられません。命をまっとうするまで」

  「……」

  「その日が来るのは、誰にもわからないことです。早い人もいれば、遅い人もいます。運命と言ってしまえばそれまでですが」

  「残された後、生きるというのは、つらいことですね」

  「いつか会える・・・・、そう思うとラクになりませんか?愛する人に会える日まで、今よりもっとステキになって、喜んでもらおうって思うと…」

  しゃべりすぎた喉を潤そうと、ワイングラスに口をつけると、理恵とつきあったばかりの頃を思い出した。

  僕の仕事の関係で、せいぜい一ヶ月に2回会えればいいほうだった頃、彼女は会う度にキレイになっていった。僕と会う日をひたすら楽しみにしていた理恵は、会えない間に自分を磨き、精一杯オシャレをしてきたものだ。言葉にはせずとも、理恵のその気持ちが嬉しくて、愛おしくて、たまらなかった。

  理恵もまた、同じ気持ちで僕を待っているのだろうか。

  誰も見たこともない、遠い世界で。僕の顔を見た時の彼女の笑顔が浮かんだ。

 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
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