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都心に存在するという「バー ラルム」は神出鬼没のバー。そこを見つけられることができるのは、
選ばれた人だけ。なぞめいた美人オーナーの出すアロマチックなおしぼりは、その人の心を解き放ち、向かうべき場所へと導いてくれます。今宵、その扉を開けるのは、「あなた」かもしれません。
 
 
第三回 太陽の結界

  「もし、苦手でしたら違うものとお取替えいたしますが…」

  「いえ、このままで。西表で飲んだこともありますし」

  「そうでしたか。西表に行かれたのでしたら、新城島(あらぐすく)は行かれました?」

  「新城島?いえ、一度も」

  「神の住む島です。人が入ってはいけない神聖な場所がいくつかあって、“あの世とこの世の結界”という感じがしました」

  「そんな場所が?」

  「ええ。写真を撮ることも禁じられているんだそうです」

  沖縄にはそうした神聖で、不思議な場所が多い。たった1本の縄や鳥居が見えない壁となり、人が立ち入るのを頑なに拒む。そこには何があるのか。もし彼女が言うよう、本当にその場所が“あの世とこの世の結界”であるのなら、僕は罪をおかしてでも入りたい。「理恵に会いたい」という気持ちは、いとも簡単に僕を犯罪者にするだろう。

「その結界を越えたら、永久の眠りについた人にも会えるんですかね…」

 ワインが少し回ってきた僕は、無意識にそんなことをつぶやいていた。彼女はグラスを拭く手を止め、少し驚いた顔でこちらを見返った。


 
葉石かおり
葉石かおり
(はいし・かおり)
エッセイスト
プロフィール
  ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。利酒師、焼酎アドバイザーの顔も持つ。
  「おひとりさま」のエキスパートとして各メディアで活動中。ひとり時間を豊かにする「おひとりさまマガジン」を主宰。
  現在、東京と京都の半々暮らし。
  西陣の老舗呉服屋・宮崎織物とコラボしたメイドイン京都ブランド「和をん」では手ぬぐい、帯ほか、酒小物も販売予定。
  近著に「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」(集英社)がある。
  また京都を舞台にした携帯小説「酒亭 心酔」がブックスレジモにて近日公開。
著作
「日本全国この日本酒がウマい!」
(KKベストセラーズ)
「隠れ酒がうまい!」
(講談社)
*「女は年下男が好き」
(講談社)
「あなたが辞めるといった時、上司は止めてくれますか?〜ゆるキャリのススメ〜」
(講談社)
*「ビバ!!年下婚」
(光文社)
「30代からの結婚がハッピーになれる!」
(三笠書房)
*「かっこいい女はおひとりさま上手」
(PHP研究所)
「実践!おひとりさま道」
(ライブドアパブリッシング)
「女利酒師とソムリエールが選ぶ今宵最高の一本」
(集英社)
「大人の蕎麦屋はここにある」
(集英社)
「産まない理由」
(イースト・プレス)
*は台湾、中国、韓国にて翻訳出版
 
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